ピナ・バウシュ III

 ピナのスタイルは自身も経験した、戦争で自身のイデオロギーを見失ってしまった人々を描くという、いわば一種の時代の証言であるといえます。それが彼女の作品が支持を得る理由であるといえるでしょう。ピナの作品の登場人物はコミュニケーション能力に問題があったり、子供時代のトラウマから抜け出られなかったりするちょっと「変な人」です。それがヨーロッパのみならず、現代の日本でも支持されるというのはいつの時代にも共通する人間の「孤独」という問題を扱っているからでしょう。それを時には暴力的に、時には風刺的に表現しているのです。

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